無欲なもてなしを味わった


日頃のご愛顧ありがとうございます。店主の高野です。
気温がぐんぐん上がり初夏の様相を呈してますが、先日、私は千葉の成田山に行ってきました。初めて行きましたが、参道は店が立ち並び、参拝客も大勢で、「これはかなり大きな寺だぞ」と思ってたら、境内は広大で、建物も巨大で庭園もかなり立派でした。
境内を歩き回っていたら、端の一区画に半分以上シャッターが閉まっている、お土産屋や飲食ができる店舗が並んでいる広場がありました。かつて昭和時代はさぞかし賑わっていたであろうそのエリアを回っていたら、おでんや蕎麦以外にもウナギを売っている店が多く「おそらくここは鰻が名物なのだろう」と思って、お婆さんが一人でやってる小さい古いお店に入りました。
店に入ると裏の開いた窓から気持ちいい風が店を吹き抜け、鰻丼を注文すると、おばあさんはゆっくりと焼き始め、その間に筍を土佐煮にしたのを出してきて、「これは水煮じゃなくて本当に最近とって自分で作ったやつだ」と思って「うちもこういう季節はふんだんにこういうのをお通しに出したいね」と思いながら好感を持ちました。すると次に大根を干して酢漬けにした漬物が出てきて、毛が入ってたところを見ると「これもお婆さんが自分で作ったに違いない、まるで実家に帰ると次から次へと出てくるような手作りの惣菜だ」と感激しました。それから明らかにお婆さんが自分で作った木の芽味噌をかけた筍の穂先、去年のウリを塩分控えめに作った奈良漬、溶けかかったワラビと一緒に煮た筍と、どんどんおかずが出てきてそれでビールが進みました。
おばあさんは前日に行ったひたちのネモフィラが素晴らしく、いかに人で賑わっていたかの話や、今や寺の講中がどんどん解散し客が減っていき、周りの店も歳とって店を閉めていく話や、周りの店からお裾分けのお礼に来た人に挨拶を交わしたり、彼女の恐らく半分以上を費やしてる成田山での人生を垣間見た気持ちになりました。
最後に自分の店のと思われる箸袋に包まれた箸を頂き(全てのお客さんに渡しているのだろうか?)、彼女の真心が込められた店に請求額以上の価値を感じさせられ自ずとチップを置いてきました。なかなか良い千葉の旅をしました。