また春を迎えるにあたって



恵比寿店、麻布十番店、仙台店、3店舗とも18時から27時まで通常営業しております。

日頃のご愛顧ありがとうございます。店主の高野です。
いよいよ春になり花が咲き始めました。従業員の黒木のジャガイモも花が咲きました。桜が咲こうとしているのに、梅がまだ満開で同時に楽しむことができそうです。

新年度を迎え世の中、出会いと別れ、新しい生活が始まる人もいるでしょう。あいにくうちでは新社員、辞める人がいるわけではなく新年度の雰囲気はありませんが、一部の学生バイトには変化もあるようです。
仙台店の学生バイトに牛木という者がおり、現在、就職活動中ですが、どんな業界を狙ってるのか聞いても、いまいち歯切れはよくありません。学生になぜその会社受けるのか聞いてもはっきりした答えがないのが当たり前でしょうが、頭の整理をさせてやるのが大人の役割でしょう。
牛木と話していたら、小学校時代から南魚沼で仲良くしてた友達がおり、振り返ると彼に引っ張られてここまでやってきたという話を聞きました。友人の刺激で志望高校を上げ、その彼を追いかけるように東北大学に入ったと。しかし、その友人は周りに何も言わず、共に子供のころからの趣味であったアニメの道を追求し、知らぬ間にナレーションの専門学校に通い、「この度、卒業発表でステージに出るから見にきてくれ」と言われて牛木は衝撃を受けたそうです。そして、そのステージを見に行った牛木は、知らぬ間にトレーニングを受けて、歌って踊って輝いている友人を見て、「もしかしたらこいつはこの世界でも成功し手の届かない存在になってしまうかもしれない。日々だらだらと過ごしている自分と違って、やはりこいつは自分のやりたいことを着実に進んでいるやつなんだ」と、また刺激を受けたようです。大学卒業後は就職はせず、親から「4年は許してやる」と言われ声優の道にチャレンジしていくそうです。
そんな友人を見て、牛木の葛藤はさらに深まったでしょう。牛木はまれにみる低い声の持ち主で、初めてのお客さんにも大抵「君、良い声してるね」と言われ、あわよくば「俺もこの声を生かして好きな道を行ければ」と思ってたと思います。もちろん、どんなに良いテナーボイスを持っていたとしても、声優として表現力がなければその道で生きていけるわけがありません。運や縁も必要でしょう。現に、先の友人も親には「せっかく良い大学に入ったのに、これで優良企業に入って、将来安泰な人生を送る夢は終わったな・・・」と言われたように、親の反対も大きいと思います。
そこで私は、「お前も声優を目指して頑張れ」と非現実的な後押しをするのではなく、「大学を卒業して、企業に就職して、杓子定規な安泰な人生を送らなければいけない」という硬い頭をほぐしてやるために、知り合いのナレーションをしている女性に話を聞いてもらう場をセッティングしました。
彼女は私の友人の彼女で、牛木の件もとても快く受けてくれて、プロの話や仕事を見せてもらい牛木とっていい刺激になったと思います。同席した私の友人も「酒は軽く」と言ってたものの、生来の酒好きの宿命なのか途中でスイッチが入って、予定外の二軒目に行くことになり私もしこたま飲んでしまいました。次の日、一日起きれなかった私でしたが、それでも朝から仕事に出かけた友人を、まったく信じられない奴だと思いました。

またに続く

写真は黒木のジャガイモ