鯛茶漬け

日頃のご愛顧ありがとうございます。店主の高野です。もうすぐ8月になろうとし、今年がもうすぐ終わりそうな勢いで時は進みます。

通常、鯛の卵や白子が大きくなるのは春というイメージなのですが、ここ最近を振り返っても最近、うちで仕入れるタイはいつも卵が大きいです。産地でも違いはあるのでしょうが、まだまだ鯛の産卵シーズンなのでしょうか。

たまには食べ物の話題もしたいと思いますが、我々の定番メニューの鯛茶漬けというのは、オープン来からあり、大きくレシピも変わっていない商品の1つです。

2004年のオープン当初、和食界で流行ってた鯛茶漬けといえば、今でもそうかもしれませんが、ゴマだれに漬けた鯛の刺身をご飯に乗っけて、煎茶をかけるというものでした。

我々も、なかなかお客さんが増えない中、高価なタイを出来るだけ捌くために、タイのメニューを考える中、鯛茶漬けをご飯メニューの一つとして入れることになりました。

ただ、うちの鯛茶漬けは漬けた鯛にお茶をかけるわけではなく、タイのアラで引いた潮汁をかけるので正式には茶漬けとは呼ばないでしょう。

そしてこの茶漬けの香りは三つ、わさび、三つ葉、ごま、なのですが、ごまはごまだれで漬けたわけでは無いので、醤油みりんの漬けにすりごまをふることで簡易的なごまだれの漬けとしているような格好です。

出汁の掛け方も、最初は私はタイは出来るだけ生であるべきだと思ってましたが、今は熱々の出汁を直接体にかけることで半生程度の軽い火入れが入るようにしています。その方が、口の中に入れた時のサラサラと入る米と、タイを噛んだ時の一体感が良くなるのではと考えています。そこに和食でよく使われる、わさび、三つ葉、ゴマというそれぞれ独立した香りが混ざり、鯛の身だけではなく、出汁にも鯛の旨味が味わえる、鯛づくしの汁物ご飯というイメージです。

潮汁も、私は出来るだけ大人しく炊いて透明で上品なものを引くようにしていましたが、中華出身の廣川真人が、ある時、タイのアラで白湯タンスープを引いてるのを見て、白濁した出汁もありだなと、最近は強火で力強いスープを引いています。イメージはラーメンのスープみたいなコクのあるスープです。ただし濁らせると臭みも出やすいので、タイの状態を見ながら判断するのが大事だと思います。

こんな感じで、オープン来の定番商品とはいうものの、一応、修正、進化はさせているつもりではあります。

それと、魚BAR一歩のメニューは大枠のレシピは決まっているものの、細部の工程まで固めているわけでは無いので、今回の私の鯛茶漬けの話を読んで、おい、別な者の作った鯛茶を見て、このスープは濁ってないでは無いか!と、作り手の個人差が出るのはご容赦ください。むしろこのばらつきを、各自がよりおいしいものをと考え追求した一つの形として現れ、この多様性が我々の前進の原動力と考えております。