ワタリガニ


最近、宮城でワタリガニが異常発生しているらしいというニュースを読んで、そういえば確かにワタリガニをよく見るなと思っていたので、最近、仙台店でワタリガニを定番商品として置いています。

ワタリガニは、毛ガニやズワイガニに比べると値段は安く、庶民的なカニとして、大抵、ぶつ切りにして味噌汁や、イタリアンではパスタとしてよく見ます。また、韓国ではケジャンとして生のカニの醤油漬けなどもあります。私は以前これで、あまりにも美味しくて、がむしゃらになってしゃぶりついてたら、殻で喉を化膿させ病院に行ったことがあります。

うちの店のメニューとしては、ただボイルしたものと、カニ飯として炊き込みご飯にして出しています。

カニといえば、一時期、どうやって出すのがベストだろうか大いに考えたことがあります。つまり店側で身をほぐして提供するか、殻付きのままで提供するかですが、以前、高級料理店の料理長に伺ったら、「カニは茹でたてを、しゃぶりつくのが一番」という答えが返ってきました。しかし、カニの身をほぐすのはとても手間がかかるだけに、お客さん全員が綺麗に身をほぐして食べてくれるわけではない。まだまだ食べれるところがいっぱいあるのに、高級食材の皿を下げて来るのも提供する側としては忍びない。こんな理由で、魚BAR一歩ではほぐして出す派になりました。これで飲んでる席で、カニに集中して無言になったり、食べるのが面倒くさくて手を出さないということが無くなります。

その宮城で急激に増えてるワタリガニですが、気の早い人は宮城の名産にしようとか言ってる人もいるようですが、なぜ急増したかはまだはっきりしてないようです。一つの推測では、津波により海底の環境が変化し、ワタリガニが繁殖しやすくなったという見方があります。

ただ過去の漁獲量のデータを見ると、一時的に豊漁になったということは、九州の有明海にもあったようで、他の魚の歴史を振り返れば、ニシンやイワシの異常な豊漁があったように、おそらく宮城のワタリガニも一時的に終わる可能性はあるでしょう。それでもここ数年、スルメ、サンマ、ホタテ、サケなど不漁の話題ばっかりだっただけに、数少ない盛り上がってる話題ではあります。この先しばらくは魚BAR一歩仙台店として、気軽に手を出せるカニであるワタリガニを推していきたいと思います。


宮城の漁獲量は600トンを超え、全国の三分の一を占めるほどになり、突然トップになりました。ただ、80年代半ばには有明海を囲む佐賀、長崎、熊本合わせて2000トン獲れた時代があることを考えるとそれほどでもありません。


有名な話ですが、かつてはイワシは異様なほど獲れ、猫すらまたぐなどと言われました。最近イワシが増えたと言われているものの、このバブルに比べるとかわいいものです。


ここ数年不漁と言われるサンマ(赤線)ですがこうして見ると長期的なトレンドとは判断しきれないところがあります。サンマについては、あと中国と台湾の参入も影響してるでしょう。

そしてニシン(青線)ですが、60年代の10万トンに比べれば1万トン未満の現在は獲れなくなりましたねえ、という話になりますが、ニシン御殿が建ったという明治時代は100万トン近く獲れてたので、それに比べれば今はゼロに近いと言っていいでしょう。

このように魚の数は乱獲とかだけでは説明のつかない、気候や海流の流れの影響もあるのでしょう。ある時意外な魚が豊漁になり、今手を出せない高級食材が身近になる日が来る可能性があるのです。